ちょっと想像してみてください。
もし、あなたが文字のない時代に生まれたとします。

隣の家に食べ物をおすそ分けに行きましたが留守でした。食べ物を置いて自分が来たことを伝えたいと思いました。さて、あなたならどうしますか?

文字のある時代なら「少しですがどうぞ。太郎。」とか、自分の名前入りのメモを残せばいいのですが、文字のない時代ですから文字のメモは残せません。

たとえば身に着けているものの一部を置いてくる。これは結構面倒ですよね。相手がこれは自分の持ち物だってわかってくれなければ意味ないですし、返してもらう必要も出てきたりしますよね。

それでは文字の代わりに自分の似顔絵でも書きますか? これも面倒で難しいですよね。

じゃあマークはどうでしょう。

自分が弓が得意なら矢のマークを地面に書いておくわけです。ただ、相手にこのマークは自分のマークだってわかってもらえないと意味がありません。だから自分とわかってもらえるような一番特徴的なところをマークにするわけです。たとえば自分の目が大きいことを相手が知っているのなら、目の絵を書く。力に自信があるなら、腕とか力こぶの絵を書く。そうやって一番自分らしいところを簡単に表現するわけです。

例えば今から5000年前の文字のない時代の縄文人はマークみたいな絵を描いたのでしょうか? 絵なんかほとんど残ってないじゃないかということもたしかにあります。でも土器に絵が書かれていたりする場合もありますから、ほとんど残っていないのは確かですけれど、日常的にはそういう記号というか絵文字のようなコミュニケーションがあったと思うわけです。

一番重要なのは、自分を表現するためにもっとも特徴的なところをマークにするということです。たとえば男性を表現する場合、男性の一番特徴的なところを記号にするわけです。

男性全体に共通する特徴的なところって何が思い浮かびますか?
筋肉質なからだですか? 個人差がありますよね。毛深いとか? これも個人差ありますよね。そうすると…そう男性器でしょうね。

女性を表現する場合も同じです。たとえば胸とか、おしりとかでしょうか? でもこれも個人差ありますよね。女性に特徴的なものは何かといえば、やはり女性器ってことになるんじゃないでしょうか。

つまり、文字のない時代を生きた縄文人は男性器や女性器をシンプルな模様や形にして縄文土器の装飾にしたのではないか? このサイトではそれを『縄文土器の記号』と呼ぶことにします。

男性器や女性器をシンプルな記号であらわしていた?
じゃあ彼らは朝から晩まで男性器や女性器のことばかり考えていたの?

たしかにごもっともです。

でも、いやらしいとか、下品だとかそういうわけじゃないと思うんです。

文字はないけれど男性と女性を土器に表現したかった。
だから男性器や女性器を記号にすることが一番合理的で便利だった。
それだけのことだったのではないかと思うわけです。

このサイトでは、そんな縄文土器の記号を独自の視点で紹介・解説していきます。