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出産の表現

2016年2月11日 - 縄文土器 出産(収穫)の表現
出産の表現

 生命が農耕に直結していた環境に生きていた彼らにとって、出産は農耕における収穫とおなじことでした。
 母胎から子供が生まれ、へその緒が出てきて、やがて胎盤が出てくる一連の場面は、大地に根をはって作物が成長し、実がなり、収穫される一連の過程とオーバーラップするものと考えられていたのでしょう。
 玉抱三叉文が出産と収穫を表すことは述べましたが、そのほかにも出産と収穫の表現があります。女性要素の記号に、へその緒を抽象化した隆帯や紐状の模様を連結する方法です。

女性器の造形に隆帯を連結して口縁部をぐるりと取り囲んでいる例。

女性器からへその緒が出て、無事な出産(収穫)を表します。
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これも女性器状の造形に隆帯を連結して、女性器からへその緒が出て無事な出産(収穫)を表現していると考えられます。

女性器をカエルのような造形とオーバーラップさせているようにも見えます。
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女性器の形状が一部破損していますが、これも隆帯を連結させて女性器からへその緒が出ている状態を表現していると思われます。

これも出産、収穫の表現です。

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玉抱三叉文と蛇体文で交合(種まき)と出産(収穫)を表し、さらに逆三角形の隆帯に隆帯を下方に連結している
ように見えますが、ちょっとわかりにくいですね。 でも反対側から見ると …

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土器の口縁部にも隆帯が連結しています。

土器そのものが母胎や畑を表していることはすでに述べましたが、

母胎から出産を終えて出てきたへその緒を隆帯で表現していると考えられます。

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 これも土器そのものを母胎に見たてて、口縁部からへその緒が出ているという構成になっています。

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口縁部を隆起させて、そこからへその緒が出ているような表現にしたと思われる土器もあります。

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口縁部を隆起させて、そこから隆帯を出している土器もあります。

よく見ると湾曲した隆帯に三叉文がついています。

渦巻三叉文の意味は妊娠(作物の生育)です。

妊娠(成長)と出産(収穫)を同時に表していることになります。

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横方向に隆起させた例です。

水平方向に飛び出ている三角の隆起と、ぐるりと土器を一周している隆帯を合わせると構造的には玉抱三叉文になります。そこからへその緒が下に伸び、くるんと丸まっています。このように垂直方向だけでなく、水平方向まで利用して造形を組み込んでいる例があります。

巧みに計算された彼らの空間の使い方には目を見張るものがあります。

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