フクロウ

 縄文土器には双環文と呼ばれる円孔や円環を2つ並べた模様が多く使われています。この双環文のもとになっているモチーフはフクロウだと考えられます。なぜなら写実的なフクロウの顔面を表したと思われる土器が複数存在しているからです。
双環文はそのような写実的なフクロウの顔面の中から特徴的な目の配置だけを抽出して抽象化した模様と考えられます。また、目の部分ではなく、フクロウの顔面の輪郭の特徴を抽象化したものが土偶にも見られるようなハート形の顔面形状である可能性も考えられます。
フクロウもマムシやアオダイショウと同じく主な餌はネズミであり、畑の近くの雑木林の木の穴などに好んで巣を作り、そこで子育てしながら生活します。フクロウのこどもは食欲旺盛で、一晩に1匹でおよそ2~4匹のネズミを食べてしまいますから、親フクロウは自分が食べるネズミを含めて1日のうちに数十匹のネズミを捕まえなければなりません。
 その生態を生かして江戸時代は畑の周りにフクロウが待機しやすいようにとまり木を建ててネズミの駆除に利用していたと言われており、現在でもイスラエルや南アフリカでは、農薬を使わないネズミ駆除対策として、フクロウを導入して大きな効果をあげているようです。

 これはあくまでも仮説的推論ですが、縄文の人々にとってネズミ駆除効果の高いフクロウは蛇とならんで農作物の収穫を左右する重要な存在だったのではないかと考えます。だからフクロウの特徴を抽象化した模様や造形がつくられたのではないか、そしてそれは蛇と並んで村にとって大切な守り神として縄文土器に記されたのではないかと考えています。

 双環文には、女性の記号である玉抱三叉文を使ったものが少なからずあります。玉抱三叉文を2つ並べ、それぞれの円孔部分をくっつけて双環文にしているのです。別記のとおり玉抱三叉文は「母」もしくは「成熟した女性」という意味があるので、フクロウは「女性」に擬人化されていたと考えられます。
 おそらく、木の穴でせっせと子育てをするフクロウの生態と、母胎で子供を育て、出産後も忙しく子育てする女性の姿をオーバーラップ(同一視)させていたのではないでしょうか。

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玉抱三叉文を組み合わせて双環文にした典型的な例 ↓

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