文様一つが一つの意味を表すだけではない
配置や組み合わせによって複数の意味を持つ

武居幸重はさらに言葉をつづける。「縄文人は限られた面積の土器表面に、複数の意味を表す文様を配置しながら美的バランスをとる優れた技術と知性を持っていた。」

文様の起源

文様の原点

『文様は装飾のために機能し、同時に集団としての共通理念や価値基準を表現し、確認する機能を本来持っている。』 

集団内に共通理念があれば共通の文様が存在するというわけである。共通理念とは生活の中でどのような事を価値あるものとして認めるかという事であり、わかりやすく言えば「価値観・生活観」だ。それを支えているもの。その形を抽象化して表現したものが文様の出発点だ。

文様の役割の変化

人類が歴史を経るに従って、情報が日常的に国境を越え、様々な労働・生活形態が生まれ、共通の「価値観・生活観」の幅が広がってくる。価値観を表現する文様の役割が次第に意味を失い、装飾する役割のみが残っていく。

しかし見方を変えれば、価値観を表現するという役割から解放され、現代の文様は装飾としての「模様」として世界に広がっている。

文様は消えない

もしあなたがその気になれば、時代をさかのぼって古い文様の数々を見つかるけることができる。その当時の人々の生活をじっくり調べれば、やがて地域集団に共通する「価値観・生活観」が理解できる。

そしてある日突然、なぜその文様が使われていたのかが理解できるはずだ。まるで全ての謎が解けるように文様の意味が連結する時が来る。そして文様は風化した言葉を越えて私たちに過去からのメッセージを投影し始める。

それは幻影ではない。なぜなら文様は私たちと同じ人間からつくられたからだ。