縄文記号講座 女性の記号

第10回 縄文土器の女性記号 母胎(その2)

投稿日:2018年9月24日 更新日:

 今まで縄文記号という自前の概念を使って縄文土器の意味について述べてきました。なぜそんな概念を持ち出したのかといえば、縄文時代中期の約1000年に作られた土器を俯瞰するためには、模様や造形を記号として分類したほうが理解しやすいと考えたからです。縄文記号はいわば便宜的なヒントのようなもので、土器それぞれが製作された時の製作者の記憶や思考をそのまま映し出したものではありません。

 それでは彼らの記憶や思考はどこにあるのでしょうか? 思考は記憶によって成り立っていて、記憶は体験によって成り立っています。私たちは彼らの体験そのものを共有することはできませんから、彼らの思考をそのまま再現することはできません。神話や人々の習俗にそれが残っているとする考えもありますが、生体レベルで考えても5500年前の記憶や思考はどこにも存在していないのです。

 しかし、存在していないからといって彼らの思考がまったく推測できないわけではありません。当時の彼らと共通することを追体験し、そこから逆算的に彼らの記憶や思考を意味づけしていくことはできるはずです。

 いささか哲学的になってしまいましたが、今回の講座はこどもの出産の映像をご紹介し、彼らと共通である出来事を映像的に追体験することで、今まで見てきた土器に母胎を見出すことができるか試みたいと思います。

 お断りしておきたいのは、これからご紹介する映像のように家族だけで分娩することがいいとか、昔に帰るべきだとか言いたいわけではありません。現代の病院での分娩は緊急時の母胎と胎児の保護、立ち会う男性の心的ストレスなどあらゆるリスクを軽減するために確立されています。それを否定するつもりはありません。

 この映像は自然分娩に至るまで、母親が様々な身体的な準備を整えた上で生命のリスクを家族が引き受けた例として見ていただければと思います。

※ご注意 刺激的なシーンを含みます。
※年齢制限があります(youtubeのコミュニティ ガイドラインに基づく設定)

”No matter what choice of birth method, the aim is to give birth consciously, to be in harmony with all of life, especially life on spaceship earth. It’s not just about natural birth or giving birth in nature – the aim is to help people reconnect with nature, to see birth as part of a greater whole.”– Simone

 出産の映像をご覧いただけましたか? おそらく、日本でも少し前まではこのように医療の助けを借りずに、出産が行われていたはずです。

 それでは、次に出産に関係すると思われる土器の画像をご覧いただきたいと思いますが、これらの画像に先ほどの出産の映像と共通するような場面を感じとることができるでしょうか?(画像数が多いので、読み込みまでに多少時間がかかります)


 いかがでしたか。出産の映像と土器の画像に何か共通するものを感じることができたでしょうか。
もし感じたとすれば、その瞬間が私たちの思考と縄文の記憶がつながった瞬間かもしれません。思考は体験に基づいた感覚が根底にあってこそ生まれるものであり、共通の体験さえあれば、それを共通の思考として感じることができるはずです。

 縄文時代中期の勝坂式土器は、このように感覚によって直感的に意味が理解できるような模様や造形がところどころにあります。今までの講座では記号だの意味だのと繰り返し述べてきましたが、縄文記号という考え方は、直感的に感じる感覚から意味を導き出すようなヒントのようなものなのです。

 次回の講座では、もう少し具体的に映像と画像の関連について述べたいと思います。

長野県茅野市尖石縄文考古館
長野県諏訪市博物館
長野県岡谷美術考古館
長野県富士見町井戸尻考古館
山梨県北杜市考古資料館
山梨県笛吹市釈迦堂遺跡博物館
山梨県甲府市山梨県立考古博物館
南アルプス市ふるさと文化伝承館

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